「プチクリ」ってどんな内容?
こんな疑問に答えるため、本編からのハイライト集です。
全200ページ中から、「これは」と思えるフレーズを順番もバラバラに抜き出してみました。
映画の予告編のような気持ちでお楽しみください。
-----(「プチクリ」予告編)-----------------------------
ほとんどの人は自分の「才能」の1%も知りません。「自分には才能なんかない」と思ってる人すらいるぐらいです。
逆に、自分の才能の出し方を知ってる、ほんの一握りの人もいます。彼らはまわりから「才能豊かな人だ」「いつも楽しそう」と思われています。
そういう「才能豊かな人」と「自分には才能なんかない」と思っている人の間には、実は大きな差はありません。「才能の埋蔵量」は同じようなものなのです。
では、なにが違うのか?
あなたにも覚えがないですか?
人が熱中していたり、世の中で流行っているのに自分がまったく興味をもてないこと・その良さがわからないこと。
小説や映画が流行っても、まったく興味がもてない。
すごい前評判の外人アーティストが来日しても、気がつかない。
健康番組が流れていても、ぜんぜん気にならない。
お笑い芸人のネタ見せ番組なんか、さわがしくてうるさいだけ。
思い当たる実例がありますよね?
才能の見つけ方レッスン1・「わからない・興味がないこと=才能がない」です。
「好きなことをしたいから」「やりたいことを続けたいから」という理由でプロのクリエイターを志願したはずです。
なのになんで、修行にもならない苦労をしなくてはいけないのか?
ものを創ったり表現したりする、というのは楽しいことのはずなのに。
先輩のクリエイター達は、苦労しなければプロにクリエイターにはなれない、と説教をします。
苦労をすればするほど、一流のクリエイターになれる可能性があがるという法則は一切ありません。現に、そんな苦労をしないで一流になっている人もたくさんいます。
ブログに掲載されている日記が、やたらおもしろい人。
街頭で弾き語りをする、味のあるアーティスト。
アマチュアなのに固定ファンがいる同人作家。
ちょっとしたポップの紹介文が心に残るビデオレンタル屋の店員。
みんなクリエイティブを心から楽しんでいます。それが、生き生きと伝わってきます。
「クリエイティブ」というのは、楽しいものです。
プロじゃないけど、楽しんで、自分から自由にクリエイティブしている人。
そういう人たちを、私は「プチクリ」と名づけました。
好きなことをどんどん紙に書き出してください。
難しく考えることはありません。
大きめ(A4判以上)の白い紙を用意して、「自分が好きなこと」「興味のあること」「大切にしていること」「こだわりを持っていること」「お気に入り」「ひいきにしている店、人」「ナイショの趣味」などを、どんどん書いていくだけでOKです。
寄せ書きみたいに、いろんな方向から書いていってもいいし、箇条書きにしてもいい。系統樹みたいに書くのもいいですね。ジャンルごとにまとめて書いてもいいし、色を使って分類してもいい。
私はこれを「才能埋蔵マップ」と名づけました。
マンガ家に、小説家になりたい、などと甘えたことを言う学生に、私は注意します。
「もう絶対に二度と『マンガ家になりたい』などと、くだらないことを言うな!」と。
こう言われた学生たちは一生懸命に考えて、もう一度聞いてきます。
「こんなこと訊いてるヒマがあったら書け!ということですか?」
「私程度の才能だったらあきらめた方がいい、ということですか?」
「プロのマンガ家は難しいからあきらめた方がいい、ということですか?」
残念、全部まちがいです。
正解はこうです。
才能はたしかにあればあったほうがいい。しかし、ありあまる才能はかえって使いづらいものです。この数式で言うと質量mが大きすぎる状態、つまり「大きすぎるカナヅチ」を考えてみてください。
大きいカナヅチは、たしかにパワーはでかいけど、扱いづらい。正確な場所に当てないと周りのものを壊してしまうかも知れない。
物事にはなんでも「適切なサイズ」というものがあります。
小さい釘を打つためなら、小さいカナヅチの方が便利なのです。
季節の変わり目ごとにコンビニにはお菓子の新製品が並びます。寒い季節になるとチョコレートなど、時期ごとに定番があるのはお菓子好きなら常識。
だったら「プチお菓子ジャーナリスト」に変身しちゃいませんか?
各メーカーの新製品を買って、まずは携帯カメラでパチリ。簡単な感想とオススメポイントを書いて、お菓子好きの友達にメールしちゃいましょう。
美味しいお菓子だけじゃなくていいんです。
「これ、ハズレ!」「値段のわりにおいしくない!」とか、「駄菓子屋は今、どうなってるのか?」みたいな社会派ルポも面白そう。
携帯メールだけじゃなくて、ブログも書いてる人だったら「スイーツジャーナル社」とか勝手に名乗っちゃうのも楽しいですよ。もちろん参加メンバーはみんな自分の名前に○○記者、とか書いちゃう。あなたは勝手に編集長を名乗っちゃう。
クリエイターとして楽しく人生を送るために、プロになることは決してゴールではありません。スタートでもありません。
たまたまプロとして活動することもあったとしても、それは、通過点の一つにすぎないのです。
大切なのは、自分の人生で、いかにクリエイティブを楽しんでいるか、ということ。
クリエイティブな能力を最大限発揮するために必要な物、それは才能ではありません。ましてや「お金」でも「コネ」でも「根性」でも「時間」でもありません。
それは「決意」と「自覚」です。
チャールズ・ロスさんはカナダ出身の売れない俳優。つまりどこにでもいる「売れないプロクリ」でした。
しかし彼はビデオで400回以上見るほどのスターウォーズ好き。で、彼が趣味ではじめたのが「スターウォーズひとり芝居」です。セリフの物まねだけじゃなく、効果音や音楽までぜんぶ自分の口だけでやっちゃう。
最初は冗談ではじめた「飲み会の芸」だったのですが、あっというまに大評判、2005年の夏にはニューヨークで3500人の観衆を前にワンマンショーを開き、ついには監督のジョージ・ルーカスから公認のお墨付きまでもらってしまいました。ロード・オブ・ザ・リング三部作も大好評だそうです。
つまり「一流の俳優になる」というプロクリ的な発想を一度捨てて、「大好きなスターウォーズの物まねでもやってみるか」というプチクリ精神で、世界的な有名人になったわけですね。
ヘタでもいいんです。
マニアじゃなくてもかまわない。
あなたの「好き」なことを、誰か他の人にも「いいかも?」って思ってもらうだけ。
それはまるで、好きな人の話をするぐらい楽しいことのはずです。
プチクリの才能。
それはまるで、自分の好きという気持ちをオノロケすることだったんですね。
ものを作ること・表現することは、もう一つの遺伝情報です。
あなたが好きなこと、人に伝えたいと思うこと。
それが表現されて、あなたの周りに広がる。
生物的遺伝子と同じく、それはどこかで途切れてしまうかもしれません。
でも、あなたが最初に「これ、好きだな」と思った理由も、きっと誰かのプチクリ活動だったかも知れませんよ。
口コミで、友達に勧められて、ブログで読んで。
誰かの「これ、好き!」という遺伝子があなたに伝わって、あなたはそれを自分の解釈で改造したり言い換えたり、あるいは他の作品と組み合わせたりして、発信する。
あなたの元にも届いたんです。だから、そんな連鎖を信じましょう。
この後書きを書く一週間前に、「爆笑問題のススメ」という番組に出演しました。
打合せの席でプチクリ理論を話すと、スタッフたちが聞き入りました。「たしかにその通りです!でも太田さんは厳しいプロ意識を持ってる人だから反対するかも」
しかし、そんなスタッフの心配はまったく杞憂でした。
「いや、岡田さんの言うとおりだと思う。俺だってマンザイだけやりたかったわけじゃないし、お笑いだけにこだわっているつもりもない」
爆笑問題の太田さんまで「自分はプチクリである」と言い出してしまったのです。
爆笑問題の田中さんも、共演の真鍋かをりさんも「そう言えば俺だってプチクリ」「私もプチクリかも」と語り出します。
お笑いやバラエティを極めたビートたけしはその後、映画監督や小説家・北野武にもなりました。
だからといってお笑いを辞めたりはしません。自分の好きなペースで番組に出て、好きな映画を撮って、気が向いたら小説を書く。
あまりに才能が巨大なので意外かも知れませんが、北野武・ビートたけしだってプチクリなんです。
最終的に誰もが目指すのは「一流のプロクリ」ではない、ということがわかります。
プロクリになれない人がプチクリになるのではありません。
プロクリだって最終的には、プチクリになりたいんです。
自分の気持ちだけに従って自由にクリエイティブできる「プチクリ」という生き方こそ、最終到達点なのです。
日々生きていれば、何かに感動してそれを誰かに伝えたくなる。人に言ったり、マネしたり、別の形で表現したくなったりするのはあたりまえです。
子供のころ、私たちはTVを見てヒーローにあこがれればマネをしました。
アイドルにあこがれば同じように歌いました。
楽しい経験や怖い経験をすれば母親や友達に話しました。
自分が集めているものを人に無理やり見せました。
思い出してください。
私たちはみんな、表現したいカタマリだったはずです。
以上、「プチクリ」の予告編でした。
発売は12月8日(木)、全国の書店にて。
お楽しみに!
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