2005年12月02日

岡田斗司夫からみなさまへの「プチクリ」予告編

●以下、著者の岡田斗司夫からみなさまへのごあいさつです●

 「プチクリ」ってどんな内容?
 こんな疑問に答えるため、本編からのハイライト集です。
 全200ページ中から、「これは」と思えるフレーズを順番もバラバラに抜き出してみました。

 映画の予告編のような気持ちでお楽しみください。


-----(「プチクリ」予告編)-----------------------------




 ほとんどの人は自分の「才能」の1%も知りません。「自分には才能なんかない」と思ってる人すらいるぐらいです。
 逆に、自分の才能の出し方を知ってる、ほんの一握りの人もいます。彼らはまわりから「才能豊かな人だ」「いつも楽しそう」と思われています。
 そういう「才能豊かな人」と「自分には才能なんかない」と思っている人の間には、実は大きな差はありません。「才能の埋蔵量」は同じようなものなのです。
 では、なにが違うのか?






 あなたにも覚えがないですか?
 人が熱中していたり、世の中で流行っているのに自分がまったく興味をもてないこと・その良さがわからないこと。
 小説や映画が流行っても、まったく興味がもてない。
 すごい前評判の外人アーティストが来日しても、気がつかない。
 健康番組が流れていても、ぜんぜん気にならない。
 お笑い芸人のネタ見せ番組なんか、さわがしくてうるさいだけ。
 思い当たる実例がありますよね?
 才能の見つけ方レッスン1・「わからない・興味がないこと=才能がない」です。






 「好きなことをしたいから」「やりたいことを続けたいから」という理由でプロのクリエイターを志願したはずです。
 なのになんで、修行にもならない苦労をしなくてはいけないのか?
 ものを創ったり表現したりする、というのは楽しいことのはずなのに。
 先輩のクリエイター達は、苦労しなければプロにクリエイターにはなれない、と説教をします。
 苦労をすればするほど、一流のクリエイターになれる可能性があがるという法則は一切ありません。現に、そんな苦労をしないで一流になっている人もたくさんいます。






 ブログに掲載されている日記が、やたらおもしろい人。
 街頭で弾き語りをする、味のあるアーティスト。
 アマチュアなのに固定ファンがいる同人作家。
 ちょっとしたポップの紹介文が心に残るビデオレンタル屋の店員。
 みんなクリエイティブを心から楽しんでいます。それが、生き生きと伝わってきます。
 「クリエイティブ」というのは、楽しいものです。
 プロじゃないけど、楽しんで、自分から自由にクリエイティブしている人。
 そういう人たちを、私は「プチクリ」と名づけました。






 好きなことをどんどん紙に書き出してください。
 難しく考えることはありません。
 大きめ(A4判以上)の白い紙を用意して、「自分が好きなこと」「興味のあること」「大切にしていること」「こだわりを持っていること」「お気に入り」「ひいきにしている店、人」「ナイショの趣味」などを、どんどん書いていくだけでOKです。
 寄せ書きみたいに、いろんな方向から書いていってもいいし、箇条書きにしてもいい。系統樹みたいに書くのもいいですね。ジャンルごとにまとめて書いてもいいし、色を使って分類してもいい。
 私はこれを「才能埋蔵マップ」と名づけました。





 
 マンガ家に、小説家になりたい、などと甘えたことを言う学生に、私は注意します。
 「もう絶対に二度と『マンガ家になりたい』などと、くだらないことを言うな!」と。
 こう言われた学生たちは一生懸命に考えて、もう一度聞いてきます。
 「こんなこと訊いてるヒマがあったら書け!ということですか?」
 「私程度の才能だったらあきらめた方がいい、ということですか?」
 「プロのマンガ家は難しいからあきらめた方がいい、ということですか?」
 残念、全部まちがいです。
 正解はこうです。





 
 才能はたしかにあればあったほうがいい。しかし、ありあまる才能はかえって使いづらいものです。この数式で言うと質量mが大きすぎる状態、つまり「大きすぎるカナヅチ」を考えてみてください。
 大きいカナヅチは、たしかにパワーはでかいけど、扱いづらい。正確な場所に当てないと周りのものを壊してしまうかも知れない。
 物事にはなんでも「適切なサイズ」というものがあります。
 小さい釘を打つためなら、小さいカナヅチの方が便利なのです。







 季節の変わり目ごとにコンビニにはお菓子の新製品が並びます。寒い季節になるとチョコレートなど、時期ごとに定番があるのはお菓子好きなら常識。
 だったら「プチお菓子ジャーナリスト」に変身しちゃいませんか?
 各メーカーの新製品を買って、まずは携帯カメラでパチリ。簡単な感想とオススメポイントを書いて、お菓子好きの友達にメールしちゃいましょう。
 美味しいお菓子だけじゃなくていいんです。
 「これ、ハズレ!」「値段のわりにおいしくない!」とか、「駄菓子屋は今、どうなってるのか?」みたいな社会派ルポも面白そう。
 携帯メールだけじゃなくて、ブログも書いてる人だったら「スイーツジャーナル社」とか勝手に名乗っちゃうのも楽しいですよ。もちろん参加メンバーはみんな自分の名前に○○記者、とか書いちゃう。あなたは勝手に編集長を名乗っちゃう。





 
 クリエイターとして楽しく人生を送るために、プロになることは決してゴールではありません。スタートでもありません。
 たまたまプロとして活動することもあったとしても、それは、通過点の一つにすぎないのです。
 大切なのは、自分の人生で、いかにクリエイティブを楽しんでいるか、ということ。






 クリエイティブな能力を最大限発揮するために必要な物、それは才能ではありません。ましてや「お金」でも「コネ」でも「根性」でも「時間」でもありません。
 それは「決意」と「自覚」です。






 チャールズ・ロスさんはカナダ出身の売れない俳優。つまりどこにでもいる「売れないプロクリ」でした。
 しかし彼はビデオで400回以上見るほどのスターウォーズ好き。で、彼が趣味ではじめたのが「スターウォーズひとり芝居」です。セリフの物まねだけじゃなく、効果音や音楽までぜんぶ自分の口だけでやっちゃう。
 最初は冗談ではじめた「飲み会の芸」だったのですが、あっというまに大評判、2005年の夏にはニューヨークで3500人の観衆を前にワンマンショーを開き、ついには監督のジョージ・ルーカスから公認のお墨付きまでもらってしまいました。ロード・オブ・ザ・リング三部作も大好評だそうです。
 つまり「一流の俳優になる」というプロクリ的な発想を一度捨てて、「大好きなスターウォーズの物まねでもやってみるか」というプチクリ精神で、世界的な有名人になったわけですね。






 ヘタでもいいんです。
 マニアじゃなくてもかまわない。
 あなたの「好き」なことを、誰か他の人にも「いいかも?」って思ってもらうだけ。
 それはまるで、好きな人の話をするぐらい楽しいことのはずです。
 プチクリの才能。
 それはまるで、自分の好きという気持ちをオノロケすることだったんですね。






 ものを作ること・表現することは、もう一つの遺伝情報です。
 あなたが好きなこと、人に伝えたいと思うこと。
 それが表現されて、あなたの周りに広がる。
 生物的遺伝子と同じく、それはどこかで途切れてしまうかもしれません。
 でも、あなたが最初に「これ、好きだな」と思った理由も、きっと誰かのプチクリ活動だったかも知れませんよ。
 口コミで、友達に勧められて、ブログで読んで。
 誰かの「これ、好き!」という遺伝子があなたに伝わって、あなたはそれを自分の解釈で改造したり言い換えたり、あるいは他の作品と組み合わせたりして、発信する。
 あなたの元にも届いたんです。だから、そんな連鎖を信じましょう。






 この後書きを書く一週間前に、「爆笑問題のススメ」という番組に出演しました。
 打合せの席でプチクリ理論を話すと、スタッフたちが聞き入りました。「たしかにその通りです!でも太田さんは厳しいプロ意識を持ってる人だから反対するかも」
 しかし、そんなスタッフの心配はまったく杞憂でした。
 「いや、岡田さんの言うとおりだと思う。俺だってマンザイだけやりたかったわけじゃないし、お笑いだけにこだわっているつもりもない」
 爆笑問題の太田さんまで「自分はプチクリである」と言い出してしまったのです。
 爆笑問題の田中さんも、共演の真鍋かをりさんも「そう言えば俺だってプチクリ」「私もプチクリかも」と語り出します。






 お笑いやバラエティを極めたビートたけしはその後、映画監督や小説家・北野武にもなりました。
 だからといってお笑いを辞めたりはしません。自分の好きなペースで番組に出て、好きな映画を撮って、気が向いたら小説を書く。
 あまりに才能が巨大なので意外かも知れませんが、北野武・ビートたけしだってプチクリなんです。
 最終的に誰もが目指すのは「一流のプロクリ」ではない、ということがわかります。
 プロクリになれない人がプチクリになるのではありません。
 プロクリだって最終的には、プチクリになりたいんです。
 自分の気持ちだけに従って自由にクリエイティブできる「プチクリ」という生き方こそ、最終到達点なのです。




 

 日々生きていれば、何かに感動してそれを誰かに伝えたくなる。人に言ったり、マネしたり、別の形で表現したくなったりするのはあたりまえです。
 子供のころ、私たちはTVを見てヒーローにあこがれればマネをしました。
 アイドルにあこがれば同じように歌いました。
 楽しい経験や怖い経験をすれば母親や友達に話しました。
 自分が集めているものを人に無理やり見せました。
 思い出してください。
 私たちはみんな、表現したいカタマリだったはずです。






 以上、「プチクリ」の予告編でした。
 発売は12月8日(木)、全国の書店にて。
 お楽しみに!
posted by 大内明日香@バーバラ at 16:40 | TrackBack(3) | 「プチクリ」内容紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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岡田斗司夫
Excerpt: 岡田斗司夫岡田 斗司夫(おかだ としお、1958年7月1日 - )は、大阪市出身のノンフィクション作家。オタキングを名乗る。血液型はO型。元ガイナックス社長。と学会会員。.wikilis{font-s..
Weblog: おたくマニア
Tracked: 2005-12-06 07:20

篆冴??????????????????????????
Excerpt:
Weblog: ?????????????????????????鐚??????c???帥?????兄
Tracked: 2005-12-11 00:49

最近手がけた書籍
Excerpt:  岡田斗司夫さんの「プチクリ」の編集を担当しました。  ちょこっと「何か」つくるのが好きな人にゼヒ読んで欲しい本です。  詳しくはこちらをみてくださいね。  http://puticre.see..
Weblog: 出版評論〜携帯版
Tracked: 2006-01-04 23:55
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